ECの世界

EC業界に関係ありそうなテーマなら何でも

(第17回)アトリビューション分析

アトリビューション分析という言葉があります。これは広告のCVに対する貢献度を測る分析手法を指します。2011年頃からバズワードとして広がり始めました。

広がりの背景としてよく指摘されることは、メディアやデバイスの多様化です。一人がスマホタブレット・PCを持つのも珍しくなくなり、オンライン・オフラインを含めて多くのメディアに接する機会が増え、その結果広告計測がますます複雑になってきました。

これ以前は、広告のCVに対する貢献度の評価は単純な方法でした。たとえばユーザがある商品をコンバージョンするまでに広告A、B、Cに接触していたとすると、単純にCV直前にクリックされた広告CだけをCVへの貢献度として評価してきました。言い換えると、広告Cのクリックに辿り着くまでに、ユーザに対して認知などのアシスト効果を果たしたかもしれない広告A、Bの効果は正当に評価されなかったのです。

そのような中、広告の計測ツールが日進月歩で進化し、クリックされたサイトに流入を呼んだ広告がアシスト効果として計測可能になりました。さらにクリックはしてないが閲覧していた広告、これに関しても計測可能になりました。つまり上記で言うところの広告A、Bが計測可能になったわけです。

それを受けて、CVを促した可能性のある全ての広告接触を計測し、分配モデルを利用しながら、各広告のCVへの貢献度を一つひとつ適切に評価しようという機運が高まりました。その評価に基づいて広告主は広告予算を再分配し、広告全体の効果向上に役立てようと考えたのです。

そんなアトリビューション分析ですが、(欧米と比較して)広告主の間ではまだ十分には浸透していない状況といえます。なぜなら日本の広告業界においては、ラストクリックのCV計測が一般的であり、CVに近いところで効果を発揮するリターゲティング広告などに評価が向きやすいとう慣習があるためです。それに加えて、分析の手間、オフラインを取り込んだ計測環境の構築、分析結果に基づいたアクションへのハードル、これらも日本でアトリビューション分析が完全に浸透しない要因と指摘されています。アトリビューション分析の浸透という意味では、まだまだ過渡期の段階かもしれません。