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(第34回)産経新聞社のデジタル戦略

前回、読売新聞社のデジタル事業に関する記事を紹介しました。読売と並んで5大紙のひとつである産経新聞についても同様の記事があったので今回紹介します。産経デジタル代表取締役社長CEOの鳥居 洋介氏におこなったインタビュー記事です。同社のデジタル戦略に関する話題がメインテーマとなっています。

産経デジタルは、2007年にMSNと提携し「MSN産経ニュース」を開始したのを皮切りに、iPhoneの日本発売が始まった2008年には、紙面ビューワー型アプリ「産経新聞アプリ」をリリースするなど、5大紙の中でも率先してデジタル化へと舵をきっていきました。そこから10年たった現在、鳥居氏は、「紙のビジネスをデジタル化」は完全に終わり、今後は「デジタルで生まれたものを、どうデジタルで進化させてくか」という発想が非常に重要だと語っています。

たとえば、2016年9月に本格ローンチした米ゲーム・エンタメサイトの日本版「IGN Japan」がその代表例です。同年12月には、映画『バイオハザード ザ・ファイナル』に関する1時間のライブストリーミング番組を作成し、公開したアーカイブを米国や英国など世界各地でサイト上に配信しました。それをきっかけにリアルイベントや広告が生まれマネタイズにつながり、予想以上の成果をあげています。

上記の新しい試みも含めて、同社はデジタル事業の収益源の多様化を進めています。基本は無料の広告モデルを収益の柱に据え、それと並行してコンテンツの有料課金モデル、定期購買モデルの電子版や、イベントやセミナー、ECといった周辺ビジネスを伸ばしていきたいとしています。

さらに今後は「メディアとしていろんなところで読者に記事を読んでもらい、お得意さんになったもらう」ために、スマートニュースやFacebookインスタント記事、Yahoo!にも戦略的に記事を出していき、同社の独自資源が何かを見極めつつ、産経デジタルなりの戦い方を突き詰めていきたいとしています。


(参考)
「紙のビジネスをデジタル化する時代は終わった」
http://digiday.jp/publishers/sankei-digital-yosuke-tori/
IGN Japan
http://jp.ign.com/