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(第25回)アドブロックの利用状況

2017年2月15日、米eMarketerはインターネットコンテンツ閲覧の広告遮断に関する調査結果を発表しました。同社によると、米国における広告遮断のソフトウェアやサービスを利用する人の数は2017年に7510万人に達し、これは同国インターネット人口の27.5%を占める見通しです。

広告遮断のソフトウェアやサービス利用者のデバイス別比率を見ると、2016年はパソコンが17.7%、スマートフォンが5.9%とのことです。2017年にはそれぞれ20.1%、7.9%に増加すると同社は分析しています。ちなみに、広告遮断の利用者は若年層が圧倒的に多く、ミレニアル世代(1980年前後から1995年ごろまでに生まれた人)が全体の41.1%を占め、その数値は、X世代(1965年〜1976年ごろに生まれた人)の26.9%や、ベビーブーマー世代の13.9%を大きく引き離しています。

なお広告遮断については、パブリッシャーが無視できない問題のひとつとしてよく話題になっています。とくに欧米では日本よりアドブロックの利用者が多く、ニュースをオンラインで読む35歳未満の間で広く普及しています。ロイター研究所が2016年に発表した、世界26カ国、5万人以上のオンラインニュース利用者を対象とした「Digital News Report 2016」によると、アドブロックの利用状況は米国24%、英国21%、ドイツ25%であるのに対し、日本は10%にとどまっています。

日本の数値が他国に比べて低い理由は、単純にアドブロックが広く認知されていないからと言われています。そしてユーザがアドブロックを利用する理由としては、広告そのものの量と、過度な追跡をする広告に嫌気がさしているのが圧倒的多数の意見として挙げられています。最近はアドブロック利用率の高い若年層の間で無料ニュースの広告を受け入れる傾向がでてきたり、ブロック困難なスポンサードコンテンツのような広告フォーマットも普及するなど、パブリッシャーにとって悪くない兆しもありますが、アドブロックのトレンドは引き続き定点観測が必要かもしれません。


(参考)
米国ユーザーの3割がネット広告をブロック、7510万人が遮断ソフトやサービスを利用
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/021700528/?rt=nocnt
「Digital News Report 2016」 Reuters Institure
http://www.digitalnewsreport.org/