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(第18回)運用型広告と自動化

インターネット広告は純広告と運用型広告に大別されますが、現在は運用型広告が主流となっています。2016年のインターネット広告費の約70%を運用型広告が占めるほどです。純広告が「〜の期間で〜円」「〜impで〜円」のように固定で広告枠の売買がなされるのに対して、運用型広告はCPM(Cost Per Mile、広告表示1000回あたりの料金)やCPC(Cost Per Click、クリック単価)の入札方式で売買されています。

さらに運用型広告は、ユーザのデモグラフィック情報、配信地域、時間帯、入札額、クリエイティブなどをリアルタイムに変動させながら運用していくのが一般的です。広義ではリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、アドネットワーク、DSP(Demand Side Platform)もすべて運用型広告の範疇に入ります。

そんな運用型広告でよく話題になるテーマに「自動化」があります。要するに、運用型広告のオペレーションにおいて、どこを自動化させ、どこを人の手に委ねれば生産性を向上できるのかといった話です。一般的に運用型広告には、過去の広告配信実績や3rdパーティのクッキー情報などを利用し、各ユーザに最適な広告配信を可能にする「自動最適化」機能が実装されています。それにより、特定ユーザに最適な広告をベストのタイミングで配信できるわけです。

このような運用型広告の特徴をみると、自動化が進み、ますます人の手がかからなくなるのでは?という向きもあるかもしれません。しかし実態としては現場の人的オペレーションの需要は拡大しています。なぜなら、設定した目標達成のために、最初から細かくセグメント別に配信設計を行なうなど、ますます複雑化する構造に人的オペレーションが追いつかないからです。実際、運用型広告を扱う広告代理店等は、オペレーション業務のみを行なう子会社や地方センターを立ち上げ人員増加を図っています。

こうしたなか最近では、機械学習によって広告配信を最適化する「オートクルーズ」、1つの広告クリエイティブを作成することであらゆる広告スペースに対応できるGoogle AdWordsの「レスポンシブ広告」など、自動最適化に関するツールが増えています。こうしたツールをうまく活用することで、過度な人的オペレーションの軽減に役立つかもしれません。