ECの世界

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(第50回)DAC、企業のデジタルブランディング支援の専門組織を設立

DAC社は4月3日、企業のブランド・マーケティングを支援する専門組織「ブランドマーケティング本部」を設立したと発表しました。主業務は、①クライアント企業に対するデジタルブランディング広告の開発・販売・運用、②オウンドメディア保有企業のコンテンツマーケティング支援としています。

①は具体的に、エディアトリアル広告やネイティブ動画広告において、媒体社・クライアントからの要望に応じた広告商品の開発、セールスや運用体制のサポート、ブランディング視点での効果指標やその指標に応じたフォーマットの開発などを行ない、②はコンセプト開発代行やクリエイティブ制作支援、ディストリビューション運用など、メディアにおけるブランディング広告全般、ならびにオウンドメディアに対するあらゆる支援を行なうとしています。

ちなみに今回設立の背景として、オウンドメディア強化の動きがあらゆる企業に広がっており、デジタル領域におけるマーケティング活動が重要視される昨今の状況をあげています。同社は今後もこのような企業のマーケティング活動支援のサービスを拡充していきたいとしています。


(参考)
デジタルブランディングに特化した専門組織『ブランドマーケティング本部』を設立
http://www.dac.co.jp/press/2017/20170403_bm

(第49回)セプテーニ、広告クリエイティブ制作に特化した新会社設立

ネット広告事業を手がけるセプテーニは4月3日、広告クリエイティブ制作に特化した新会社「Septeni Ad Creative株式会社」を設立したと発表しました。

新会社設立の背景として同社は、これまで国内外の拠点でクリエイティブ体制を整えてきたが、高品質な広告クリエイティブをさらに効率的に制作するためと説明しています。また、バナー制作において自動化を促進することで、クリエイティブを短時間で量産できる体制を構築したい狙いもあるようです。

セプテーニグループとしては、今後さらなる拡大が見込まれる動画広告を中心にクリエイティブ制作体制の強化を図り、顧客企業に対して質の高いインターネットマーケティングサービスを提供していきたいとしています。


(参考)
広告クリエイティブ制作に特化した新会社「Septeni Ad Creative株式会社」を設立
https://www.septeni-holdings.co.jp/news/release/2017/04011854.html

(第48回)DAC関係者が語る動画広告市場の展望

DAC社メディアサービス本部の中本大介氏とプロダクト開発本部の元嶋 拓也氏が、直近の動画広告市場と業界動向について語った記事がありました。要点だけ拾って紹介します。

まず記事の中で両氏は、直近の動画広告市場について以下の印象を並べています。
ソーシャルメディアの本格的な動画対応
②縦型動画の浸透
③アウトストリーム広告の普及

①はFacebookTwitter、LINEなどのSNSが本格的な動画対応を進めたのに伴い動画広告の配信量が増加。それが引き金となり、スマートフォンWEBサイトやアプリを横断して動画広告を配信できる、スマートフォンに特化したアドネットワークの需要が増えアドネットワーク事業者が拡大。さらに、MCN(マルチチャネルネットワーク)と言われる分野のインフルエンサーが誕生し、YouTubeのみならずソーシャルメディアでファンを多く抱えるインフルエンサーを活用するプロモーションの需要も増えたとしています。

②は特にスマートフォンでは縦型動画の対応が目を見張り、C CHANNELでは既に縦型フォーマットに対応。アウトストリーム広告でも縦型動画のフォーマットに多様性が生まれてきていると指摘しています。一方で、縦型動画が普及するにあたって必要になってくる環境整備はまだ充分とはいえないものの(動画広告素材制作におけるコストの問題や制作工程に与える影響)、縦型動画成長の伸びしろはあると見ています。

③については、今年インストリーム広告に対してアウトストリーム広告のシェアが大きくなり、この傾向は続くだろうと指摘しています。さらに、アウトストリーム広告の普及によって、動画コンテンツを持っていなくても動画広告を配信できる環境が整備され、記事ページやタイムラインなど様々な場所で動画広告を配信するメディアが非常に増えてきたことも触れています。

そして今年の動画広告市場の展望について中本氏は、プレーヤーは増加の一途を辿っているものの、徐々に需要やポテンシャルの面でそれらのプレーヤーは絞られていくと予想しています。また、動画広告で得られる効果の実証が認知されてきているためか、広告主企業一社あたりの動画広告にかける予算は増えており、DAC社としても広告主の期待と市場の伸びを牽引できるような提案をしていきたいと語っています。


(参考)
国内デジタル広告市場をリードするDAC、キーマンが語る動画広告市場と業界の展望
http://www.exchangewire.jp/2017/03/03/video-landscape-jp-2017-dac/

(第47回)Supershipと楽天が広告配信で連携

アドテク企業のSupership楽天が広告配信で連携するという記事がありました。記事に登場するのは、Supership広告事業本部ビジネス開発部に所属する小林賢太郎氏と、楽天のアドソリューションズ事業を担当している渡邉桂子氏です。記事には連携そのものの内容と、両者の視点からみたアドテクの展望が語られており、今回それらを中心に取り上げます。

まず今回の目的は、楽天の持つ消費者行動分析データとSupershipのオーディエンスデータを活用した広告配信・分析にあるようです。具体的には、SupershipDSP、DMP、オーディエンス分析サービスがワンセットになった「ScaleOut Ad Platform」というプロダクトを楽天に技術提供し、楽天側は従来の「楽天DSP」にそれを実装させることでスマートフォン領域のターゲティング・分析を強化することが可能になりました。逆にSupership側は、PCユーザーのデータに強みを持つ楽天と連携することで、PC領域をカバーしたいという狙いがあったようです。

広告配信領域における今後の展望としては、Supership小林氏は、現状スマートフォンやPCなど、デバイスごとでしかコミュニケーションを取れていないケースが多い中、近い将来は、デバイスを横断してひとつながりのコミュニケーションが可能になるだろうと語っています。楽天渡邉氏は、WWPグループのメディアエージェンシーGroupMがデータユニット「[m]Platform」という独自IDを構築・活用する組織を立ち上げたことを引合いに出し、このよう中でも、今回Supershipとの連携で生み出したサービスは対抗馬になり得ると語っています。


(参考)
Supership楽天が広告配信で連携 目指すは最適なクロスデバイスでのコミュニケーション
http://markezine.jp/article/detail/26235
求められるのは「何を届けるか」 楽天Supershipが考える最新アドテクノロジー
http://markezine.jp/article/detail/26237

(第46回)サイバーエージェント、R25運営元を買収

3月31日、サイバーエージェントはネットメディア「R25」運営元のMedia Shakers買収を発表しました。Madia Shakersの親会社であるリクルートホールディングスから発行済みの全株式を2017年5月1日に譲り受けるとのことです。買収によりMedia Shakersが培ってきたコンテンツ制作のノウハウを活かし、2017年夏には新たなメディア創刊も予定。同時に「Ameba」「Spotlight」「by.S」をはじめとした既存サービスとの連携で、メディア事業のさらなる拡充を狙うとしています。

R25」は若手ビジネスマン向けのフリーマガジンで、2004年に創刊。駅のラックやコンビニなどで無料配布され、発行部数は最大週刊60万部を記録するなど話題を集めました。しかし2015年にフリーマガジンである紙版は休刊。その後はWeb版である「web R25」とブランド統合を行ない、Webに絞った展開を行っていましたが、Web版も2017年4月28日付けで終了することを発表していました。


(参考)
株式会社 Media Shakersの株式譲受に関するお知らせ
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=13548

(第45回)昨今のアドテクに対する見方

昨今のアドテクとその周辺技術についてのインタビュー記事がありました。インタビューに応えているのは英国Adbrain社ファウンダー兼CEOのGareth Davies氏。アドテクについて比較的最近よく語られる内容かもしれませんが、参考までに取り上げます。

Davies氏いわく、アドテクの世界において、最近はとくにデジタル広告業界に多くの解決すべき課題があると指摘しています。不安定なアービトラージによるビジネスモデル、期待に届かない成長やバリュエーション、広告詐欺やクリックベイト、偽集計などの問題がその代表例です。さらにFacebook及びGoogleの独占状態も改善すべきであると指摘されています。

約5年前はVC向けのピッチにおいて「プログラマティック」「リアルタイム広告」「マシーンラーニングアルゴリズム」などについて述べれば、資金が得られる可能性が非常に高い「トレンド」としてアドテクは機能していましたが、最近は上記で述べたネガティブのイメージが先行しているようです。

そのようなアドテクの現状に必要な次なるステップは、マーケットプレースではなく、マーケターや市場が必要とすることをサポートし、提供することであるとDavies氏は主張しています。それが進めば現在のブラックボックス化されたアービトラージモデルは無くなり、透明性が高く、本質的で、責任の高いサービスを享受することができるだろうとしています。


(参考)
アドテクは死なない。息の長いアドテクについて
http://www.exchangewire.jp/2017/03/31/interview-adbrain-programmatic/

(第44回)Snapchat上の360度動画広告

Snapchatの360度動画広告に急増の兆し。そのような記事がありました。360度動画とは、撮影した対象物を上下左右360度すべてのアングルから見ることができる動画を指します。撮影自体はRicohのTheta、KodakのSP360、IC Real TechのAllieなどが代表的で、2015年頃からYouTubeFacebook上でもアップロード・視聴が可能となり一気に普及しました。気軽に没入感を体験できることから、マーケティングに導入する企業も少なくありません。

そんな360度動画ですが、冒頭にも書いたように従来のYouTubeFacebookでなく、Snapchat上で広告プロモーションを行なう企業が増えつつあるようです。2016年8月に初めてSony PicturesがSnapchat上で360度動画広告を出したのを皮切りに、Netflixや米ハンバーガーショップチェーンのChick-Fil-A、また最近は公開前から注目度が高かった映画『フィフティ・シェイズ・ダーカー(Fifty Shades Darker)』のワンシーンがSnapchat上で公開されるなど、事例を集めればきりがありません。

この背景について、Snapchatの広告パートナーであるVR会社OmniVirtの共同創設者兼COOのマイケル・ラッカー氏によると、360度動画は通常の動画広告と比べて、はるかに高いクリック率とエンゲージメントが得られるため、Snapchat上での360度動画の提供を希望する広告主の数が増えていると分析しています。さらに、OmniVirtのクライアントによるSnapchat上でのスワイプ回数調査では、360度体験での回数がその他のスワイプ動作と比べて2〜3倍多いそうです。これらの傾向は、Snapchatのメインユーザーである18歳から34歳までのミレニアル世代にとくに顕著になると見られています。以上のトレンドから、記事の論調としては、Snapchat上において360度動画広告は今後ますます増えていくだろうと予想しています。


(参加)
Snapchatの360度動画広告、ユーザーの好反応に急増の予感:「スワイプ」が示す意図
http://digiday.jp/platforms/the-latest-trend-in-snapchat-ads-360-degree-video/