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(第30回)Yahoo! JAPAN、YDNの動画広告を提供開始

ヤフー株式会社(以下Yahoo! JAPAN)は、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の動画広告を正規代理店を対象に提供開始したことを発表しました。スマートフォン向け「Yahoo! JAPAN」アプリトップのタイムラインから掲載を開始し、順次配信面を拡大していく予定とのことです。

Yahoo! JAPANは、2015年にスマートフォン用「Yahoo! JAPAN」アプリをタイムライン型のUIに刷新、それに伴い、タイムラインと調和したレイアウトの広告掲載に注力してきました。今回のYDNの動画広告は、画像とテキストの広告に比べ情報量が格段に増え、伝達力と訴求力の高い広告アプローチが実現可能になったとしています。

なおタイムライン上の動画広告は、動画領域の50%以上が可視領域に表示された場合に自動再生が開始されるそうです。また、この動画広告の課金方式は視聴課金型を採用するとしています。Yahoo! JAPANはこのようにコンテンツの動画化を促進し、ユーザの快適な動画体験を支える環境作りを行なうなど、今後もさまざまな取組を進めていくとしています。


(参考)
Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の動画広告を提供開始
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2017/03/16a/

(第29回)読売新聞社「大手小町」を4月から刷新

 読売新聞社が運営する女性向け人気サイト「大手小町」が2017年4月から「OTEKOMACHI」として全面リニューアルされます。「大手小町」は読売新聞のニュースサイト「ヨミウリ・オンライン」のWEBマガジンとして1998年に開設され、今年で18年目を迎えます。「大手小町」の中でも独自コンテンツの掲示板「発言小町」が人気で、それを含めた月間総ページビュー数は約1億4300万にのぼります。

リニュアール後の「OTEKOMACHI」は、これまで同様30代の働く女性をメインターゲットに据え、コンテンツの魅力をアップさせると同時に、広告メニューの充実も図るとしています。「OTEKOMACHI」の広告戦略について、DIGIDAY[日本版]が読売新聞東京支社 執行役員広告局長 阿部順一氏に行ったインタビューによると、「OTEKOMACHI」はスマートフォンファーストのデザインを取り入れ、デジタルマガジンの趣向に沿ったものを想定。特集テーマは2〜3ヶ月先まで決めて、それをクライント各社に示しながら提案を行っていくと語っています。

ちなみに同社の現在のデジタル収益の4割程度が運用型広告であるそうです。また2016年12月から「クリエイティブチーム」と呼ばれる、ニューヨーク・タイムズの広告制作チーム「T-ブランドスタジオ」のような専門組織を設け、そのチームが主体となってネイティブ広告を制作し、「OTEKOMACHI」で積極的に活用していくとしています。そして自社の広告ビジネスの今後については、他新聞社のようにデジタル局を設置し、完全に分業するのではなく、新聞とデジタルを一括にした組織体制のもと、クライアントからの総合的なソリューション提案の要望に応えていきたいと語っています。


(参考)
「読売新聞のデジタル化は、分業ではなくワンストップ」
http://digiday.jp/publishers/yomiuri-renewal-of-otekomachi-and-new-sales-division/
読売の女性向け人気サイト「大手小町」が刷新
http://adv.yomiuri.co.jp/newsreport/201702news1.html

(第28回)DataXu社幹部が語るネイティブ広告の今後

マーケティング・分析ソフトウェア大手プロバイダのDataXu社のCTO兼共同創業者Bil Simmonsが、ネイティブ広告の今後について語った記事がありました。

現在欧米ではアドブロックのソフトウェアが人気を集めており、とくに英国では22%のユーザ利用しているとされています。また2020年までに、アドブロックにより200億ポンドもの影響がパブリッシャーに及ぶとする予測さえあります。このようにアドブロックを介したユーザとパブリッシャーのせめぎ合いが続くなか、ネイティブ広告こそ、その問題解決に有効であると同氏は主張しています。

主な理由として、①ネイティブ広告はコンテンツに調和しておりユーザ体験を妨げない ②モバイルシフトによりディスプレイメディアの割合は減少し、ユーザはSNSのフィードに多くの時間を費やすようになった ③ユーザはバナーよりもネイティブ広告を25%多く閲覧する、ネイティブ広告はバナー広告と比較して18%も購入意思を高める、などの調査結果(ShareThroughやIPG調べ)を挙げています。

以上を総合して、同氏は、ネイティブ広告と配信コンテンツはWin-WInな関係で、視聴者はより優れたユーザエクスペリエンスを得て、パブリッシャーは広告収入やトラフィックを維持することができるとした上で、ネイティブ広告は、ブランド企業、パブリッシャー、消費者のそれぞれにとって、未来のより良い広告業界へのドアを開くだろうと語っています。


(参考)
ネイティブ広告の利用:企業はなぜより良い広告に目を向けるのか
http://www.exchangewire.jp/2017/03/14/interview-dataxu-native-ad/
DataXu
https://www.dataxu.com/

(第27回)KPMG実施 - 消費者プライバシーに関する意識調査

最近のエントリは、ネット広告に対する意識調査絡みのテーマが多くなっています(とくに意図していませんが)。今回もそれに関連する別の調査結果を発見したので、ついでに取り上げたいと思います。

2月17日にKPMGコンサルティング株式会社(以下KPMG)が発表した「消費者プライバシーデータに関するグローバル意識調査2017」です。世界24ヵ国、約7000人のユーザを対象に実施。同調査の目的は、インターネットの任意のサイトやアプリ利用時に求めれれる「個人データ」が、どのレベルから「不快でプライバシーを侵害する」とユーザに思わせてしまうのか、その境界線を探りあてようとしたものです。

結論からいうと、ユーザは総じて個人データの取扱に関心を寄せており、少なからずネットへの個人データ提供に慎重になっていることが明らかになりました。たとえば「プライバシーを保護するため、どのような事をしているか」という問いに対しては、「ブラウザのCookieを削除する」というユーザが60%いることが明らかになりました。Cookieはターゲティング広告に使われる場合も多いことから、これは広告主にとっては無視できない回答結果です。また「広告をブロックするソフトウェアを使っているユーザは40%近く」という回答結果も同様に見逃せません。

同調査からわかった大きなポイントは、①消費者の57%はプライバシーポリシーをほとんど読まない ②84%の消費者が連絡先や写真、閲覧履歴へのアクセスを求めるアプリを容認していない ③世界の消費者の約60%がクッキーを削除している、以上の3点です。ちなみに3点それぞれの詳細は、以下KPMGのリリースに詳しいです。
https://home.kpmg.com/jp/ja/home/media/press-releases/2017/02/cyber-privacy-data.html

(第26回)AdRoll実施 - マーケターとユーザを対象としたネット広告の意識調査

米国リターゲティング広告大手のAdRoll株式会社が「消費者リサーチ2017 - クリックされない広告から考える広告施策の指標と対策」を発表しました。同レポートは、2016年9月から11月までの間、日本で広告出稿業務に関わるマーケティング担当者200名およびインターネット広告ユーザ1000名を対象に実施されたものです。

調査トピックとしては、以下のような項目が並んでいます。
①マーケターによるインターネット広告利用状況およびリターゲティング広告の認知・利用状況
②インターネット広告で評価するポイントと不安要素
③マーケターの広告施策実施の現状および課題
④ネット広告を見た後の行動
⑤間接的な効果指標計測の有無

①〜⑤に関してどのような調査結果が出たのか順に見ていきましょう。

まず①に関しては、リテンション施策を「何もしていない」のが18.5%、「リターゲティング広告を知らない」のが23%であったことから、多くのマーケターがインターネット広告の重要性を感じつつも、実際の取り組みにはさらなるポテンシャルがあることが伺えます。②に関しては、マーケターがインターネット広告を評価するポイントは「費用対効果」が76.5%と回答した一方、61.7%のマーケターがその「費用対効果」が不明瞭と感じているようです。

③に関しては、マーケターが重視するKPIは効果測定のしやすさから「ユーザリーチ数」「クリック数」が上位を占めました。課題としては、投資対効果の鈍化を感じる回答が多く寄せられています。同レポートはその理由のひとつとして、ユーザとマーケターの間の意識の違いを指摘しています。なぜなら同調査レポートから「インターネット広告を意識して見ることがよくある」と回答したユーザは全体の10.1%、「よくクリックする」と回答したユーザは6.4%で、1割にも満たない現状も明らかになっているからです。

④に関しては、クリックをせずに購買に結びついたケースも一定の割合で存在することが明らかになりました。そして⑤に関しては、アトリビューション分析に代表される間接的な効果指標計測を実施したことがあるマーケターは全体の約半数、残りの半数は実施経験がないまま現在に至っていることが明らかになりました。この結果は、多くのマーケターがいまだラストクリックのみを KPI にした施策を継続していることを示唆しています。

①〜⑤の調査トピックの結果から、2017年のデジタルマーケティングが次のステップに進むために、「ラストクリック依存からの脱却」を課題として認識し、新たなKPIの設定と、そのためのテクノロジーソリューションの見極めが必要であると同レポートは結んでいます。


(参考)
AdRoll「クリックされない広告から考える広告施策の指標と対策」発表
http://news.mynavi.jp/news/2017/02/28/106/
AdRoll消費者リサーチ2017調査レポート
https://www.adroll.com/ja-JP/resources/guides-and-reports/consumer-research-jp

(第25回)アドブロックの利用状況

2017年2月15日、米eMarketerはインターネットコンテンツ閲覧の広告遮断に関する調査結果を発表しました。同社によると、米国における広告遮断のソフトウェアやサービスを利用する人の数は2017年に7510万人に達し、これは同国インターネット人口の27.5%を占める見通しです。

広告遮断のソフトウェアやサービス利用者のデバイス別比率を見ると、2016年はパソコンが17.7%、スマートフォンが5.9%とのことです。2017年にはそれぞれ20.1%、7.9%に増加すると同社は分析しています。ちなみに、広告遮断の利用者は若年層が圧倒的に多く、ミレニアル世代(1980年前後から1995年ごろまでに生まれた人)が全体の41.1%を占め、その数値は、X世代(1965年〜1976年ごろに生まれた人)の26.9%や、ベビーブーマー世代の13.9%を大きく引き離しています。

なお広告遮断については、パブリッシャーが無視できない問題のひとつとしてよく話題になっています。とくに欧米では日本よりアドブロックの利用者が多く、ニュースをオンラインで読む35歳未満の間で広く普及しています。ロイター研究所が2016年に発表した、世界26カ国、5万人以上のオンラインニュース利用者を対象とした「Digital News Report 2016」によると、アドブロックの利用状況は米国24%、英国21%、ドイツ25%であるのに対し、日本は10%にとどまっています。

日本の数値が他国に比べて低い理由は、単純にアドブロックが広く認知されていないからと言われています。そしてユーザがアドブロックを利用する理由としては、広告そのものの量と、過度な追跡をする広告に嫌気がさしているのが圧倒的多数の意見として挙げられています。最近はアドブロック利用率の高い若年層の間で無料ニュースの広告を受け入れる傾向がでてきたり、ブロック困難なスポンサードコンテンツのような広告フォーマットも普及するなど、パブリッシャーにとって悪くない兆しもありますが、アドブロックのトレンドは引き続き定点観測が必要かもしれません。


(参考)
米国ユーザーの3割がネット広告をブロック、7510万人が遮断ソフトやサービスを利用
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/021700528/?rt=nocnt
「Digital News Report 2016」 Reuters Institure
http://www.digitalnewsreport.org/

(第24回)ジャストシステム、モバイルとSNSに関する月次調査結果を発表

ジャストシステムは『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年2月度)』の結果を発表しました。同調査は15〜69歳の男女1100名を対象に調査を実施。主に各年代のニュース情報源、広告接触、それらがどのデバイスやメディアを通してなされているかの傾向が読み取れます。

「ニュースの収集は新聞よりもスマートフォン」「10代のスマートフォン利用者のうち、7割はSNS上の投稿やニュースから情報収集」といった、感覚的に違和感がないと思われる結果が並びますが、やはり実際に数字で見ると説得力を伴う気がします。主な調査結果のサマリは以下の通りです。

全年代が「ニュースの収集は新聞よりも、スマートフォン
スマートフォン利用者に、ニュースなどの情報収集目的で1日に最も接触する頻度が高いメディアを聞いたところ、「スマートフォンからのインターネットやアプリ」が最も多く(44.9%)、次いで「パソコンからのインターネット」(24.9%)、「テレビ」(24.4%)。新聞や雑誌、ラジオは全年代で10%を下回る。

10代のスマートフォン利用者のうち、7割は「SNS上の投稿やニュース」から情報収集
スマートフォンでニュースなどの情報収集をする際に最も利用するのは「インターネット」(74.8%)、次に「ニュースアプリ(新聞社やテレビ局以外)」(49.1%)、「SNSの投稿やニュースコンテンツ」(48.5%)でした。年代別で見ると、20代以上は「インターネット」が最も利用するメディアだったにもかかわらず、10代だけは「SNSの投稿やニュースコンテンツ」(69.2%)を挙げる人が最も多く、「インターネット」(67.3%)をわずかに上回る(複数回答あり)

スマートフォン利用者の広告接触率は、1位「テレビ」、2位「スマートフォン」、3位「パソコン」
スマートフォン利用者に、普段、広告を目にするメディアを聞いたところ、「テレビ」が最も多く(73.9%)、次いで「スマートフォンからのインターネットやアプリ」(67.7%)、「パソコンからのインターネット」(58.3%)(複数回答あり)


(参考)
ジャストシステム、「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年2月度)」結果を発表
http://www.nikkei.com/article/DGXLRSP438813_Y7A300C1000000/
「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」
https://marketing-rc.com/report/