ネット広告の世界

ネット広告に関係ありそうなテーマなら何でも

(第20回)Facebookがメディア企業に明かした動画戦略

Facebookは2月17日、自社オフィスに多数のメディア企業幹部(ABC、NBC、New York Times、The Washington Post、BuzzFeed、Refinery29、Vice等)を招き、2017年に計画中のコンテンツと製品のロードマップを説明しました。このイベントは動画広告の収益源構築のために、メディア企業とさらなる連携を図ろうとするFacebookの取組みの一環とされています。

記事によると今回のメインテーマは動画だったようです。Facebookプラットフォーム上でユーザーが過ごす時間を長くするために、オリジナル長編動画作成、動画タブの配置、またライブ動画へのミッドロール広告挿入などが話題に上がりました。Facebookにとって2016年がライブ動画が最優先課題の一年だったとすれば、2017年はロングフォーム動画がそれにかわるメインプロジェクトと見られています。

方向性としては、ショートフォームの動画をいままでどおりニュースフィード上で配信しながら、ロングフォーム動画を動画タブやTVアプリで視聴してもらえるようにするという構想をFacebook幹部は描いているようです。すべてはFacebook上でユーザーの滞在時間を長くするために、そして将来的にYouTubeと競争できる存在にするための施策です。

また現在はケイシー・ネイスタット(Casey Neistat)のようなSNSのスターにしか認めていないライブ動画へのミッドロール広告の挿入を、一般のパブリッシャーにも対象を拡大する計画を発表しています。ただし広告を挿入できるのは、Facebook上でフォロワーが2000人以上いるパブリッシャーやソーシャルスター、および同時視聴者数が300以上のライブ動画に限定されます。それでも、ゆくゆくは「Facebook Live API」を使って、ライブ動画を制作するパブリッシャーにもツールを開放すると見られています。

(参考)Facebookがメディア企業に明かした「動画戦略」の中身
http://digiday.jp/publishers/facebook-pitches-video-monetization-product-roadmap-publishers/

(第19回)MAについて

デジタルマーケティングの実行作業を自動化すること、または自動化してくれる機能がオールインワンでパッケージされたツールをMA(Marketing Automation)といいます。クラウド型で提供されることが多いため、マーケティングクラウドと呼ばれることもあります。2000年代に米国で普及し始めたMAは、日本では2010年頃から徐々に市場に広まりました。

企業はMAを導入することで、既存・新規・見込み顧客に対して、より効率的な広告投資が可能になります。ECサイトを例にとってみましょう。たとえば、ある人が商品をカートに入れたものの何らかの事情により購入を見送りました。そのような人に対して、翌日リマインドメールを送る。メールを開いても購入しなかった人には後日リターゲティング広告を表示する。それでもその広告をクリックしなかった場合には・・という一連のオペレーションを、シナリオ設計することで自動化することができます。

MA普及の背景には、顧客が商品を購入するまでのプロセス(カスタマージャーニー)の多様化があります。さらにそのカスタマージャーニーの背後には、スマートフォンが大きく影響しているのは言うまでもありません。そのような中、企業にとって見込み客を最適なタイミングで抽出し、次のアクションを実施する仕組みをマンパワーで行なうには限界があります。MAは、そのようなデジタルマーケティングのプロセスにおいて、実施工程だけを担い、人的オペレーションの工数削減に寄与しています。そしてマーケターはシナリオ設定といった、人しかできない業務でより付加価値を出していくことが可能になります。

(第18回)運用型広告と自動化

インターネット広告は純広告と運用型広告に大別されますが、現在は運用型広告が主流となっています。2016年のインターネット広告費の約70%を運用型広告が占めるほどです。純広告が「〜の期間で〜円」「〜impで〜円」のように固定で広告枠の売買がなされるのに対して、運用型広告はCPM(Cost Per Mile、広告表示1000回あたりの料金)やCPC(Cost Per Click、クリック単価)の入札方式で売買されています。

さらに運用型広告は、ユーザのデモグラフィック情報、配信地域、時間帯、入札額、クリエイティブなどをリアルタイムに変動させながら運用していくのが一般的です。広義ではリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、アドネットワーク、DSP(Demand Side Platform)もすべて運用型広告の範疇に入ります。

そんな運用型広告でよく話題になるテーマに「自動化」があります。要するに、運用型広告のオペレーションにおいて、どこを自動化させ、どこを人の手に委ねれば生産性を向上できるのかといった話です。一般的に運用型広告には、過去の広告配信実績や3rdパーティのクッキー情報などを利用し、各ユーザに最適な広告配信を可能にする「自動最適化」機能が実装されています。それにより、特定ユーザに最適な広告をベストのタイミングで配信できるわけです。

このような運用型広告の特徴をみると、自動化が進み、ますます人の手がかからなくなるのでは?という向きもあるかもしれません。しかし実態としては現場の人的オペレーションの需要は拡大しています。なぜなら、設定した目標達成のために、最初から細かくセグメント別に配信設計を行なうなど、ますます複雑化する構造に人的オペレーションが追いつかないからです。実際、運用型広告を扱う広告代理店等は、オペレーション業務のみを行なう子会社や地方センターを立ち上げ人員増加を図っています。

こうしたなか最近では、機械学習によって広告配信を最適化する「オートクルーズ」、1つの広告クリエイティブを作成することであらゆる広告スペースに対応できるGoogle AdWordsの「レスポンシブ広告」など、自動最適化に関するツールが増えています。こうしたツールをうまく活用することで、過度な人的オペレーションの軽減に役立つかもしれません。

(第17回)アトリビューション分析

アトリビューション分析という言葉があります。これは広告のCVに対する貢献度を測る分析手法を指します。2011年頃からバズワードとして広がり始めました。

広がりの背景としてよく指摘されることは、メディアやデバイスの多様化です。一人がスマホタブレット・PCを持つのも珍しくなくなり、オンライン・オフラインを含めて多くのメディアに接する機会が増え、その結果広告計測がますます複雑になってきました。

これ以前は、広告のCVに対する貢献度の評価は単純な方法でした。たとえばユーザがある商品をコンバージョンするまでに広告A、B、Cに接触していたとすると、単純にCV直前にクリックされた広告CだけをCVへの貢献度として評価してきました。言い換えると、広告Cのクリックに辿り着くまでに、ユーザに対して認知などのアシスト効果を果たしたかもしれない広告A、Bの効果は正当に評価されなかったのです。

そのような中、広告の計測ツールが日進月歩で進化し、クリックされたサイトに流入を呼んだ広告がアシスト効果として計測可能になりました。さらにクリックはしてないが閲覧していた広告、これに関しても計測可能になりました。つまり上記で言うところの広告A、Bが計測可能になったわけです。

それを受けて、CVを促した可能性のある全ての広告接触を計測し、分配モデルを利用しながら、各広告のCVへの貢献度を一つひとつ適切に評価しようという機運が高まりました。その評価に基づいて広告主は広告予算を再分配し、広告全体の効果向上に役立てようと考えたのです。

そんなアトリビューション分析ですが、(欧米と比較して)広告主の間ではまだ十分には浸透していない状況といえます。なぜなら日本の広告業界においては、ラストクリックのCV計測が一般的であり、CVに近いところで効果を発揮するリターゲティング広告などに評価が向きやすいとう慣習があるためです。それに加えて、分析の手間、オフラインを取り込んだ計測環境の構築、分析結果に基づいたアクションへのハードル、これらも日本でアトリビューション分析が完全に浸透しない要因と指摘されています。アトリビューション分析の浸透という意味では、まだまだ過渡期の段階かもしれません。

(第16回)アドネットワークとDSP

アドネットワーク(Ad Network)とDSP(Demand Side Platform)は、広告効果を最大化したい広告主にとって重要なツールです。過去のエントリでもそれぞれ触れましたが、今回は広告主から見た2つの違いや使い分けを中心に書いてみたいと思います。

まずアドネットワークとは、広告媒体のWebサイトを多数集めたネットワークを指します。ネットワーク内の多数のWebサイトに広告を配信する手法そのものを指す場合もあります。そしてDSPは、ディスプレイ広告の取引のおいて広告主に用意されたシステムで、数多くの広告枠の中から最適なものを見つけ出し、入札し、広告を配信することを可能にします。

簡単に言ってしまうと、アドネットワークは複数のWebサイトに同時に広告を配信できるツールで、DSPはそのアドネットワークを複数・一元管理して運用できるものです。

一般的にひとつのアドネットワークを導入すると一度に何千ものWebサイトに広告配信ができます。DSPを利用すれば、複数のアドネットワークに一括して広告配信できる点は魅力的ですが、1〜2つのアドネットワークのみに配信といったケースでは、DSPの利用料と効果を考慮すると、プログラマティックにDSPを運用するより手動でアドネットワークを運用したほうが効果が出る場合もあります。このようにアドネットワーク単体で運用するか、DSPを通じて運用するかは、広告主の目的に応じて使い分けが必要かもしれません。

(第15回)広告の市場動向

毎年1回「日本の広告費」という統計が発表されています。電通が主体となり、マス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)、衛生メディア関連、インターネット、プロモーションメディアにおいて、それぞれ日本国内で1年間に使われた広告費を推定したものです。

今年は2月23日にその最新版となる「2016年(平成28年日本の広告費」が発表されました。今年目立ったトピックは以下の通りです。
日本の広告費は、5年連続でプラス成長
・総広告費は6兆2,880億円、前年比101.9%
・インターネット広告媒体費(制作費除く)が初の1兆円超え

とくに2014年以来2桁成長を続けるインターネット広告は、今年もアドテクの進化を背景とした、運用型広告を中心に今なお拡大を続けています。またSNSにおけるインフィード広告、動画広告といった新たな成長領域も見逃せません。デバイス別にみると従来型PCからスマートフォン、いわゆるモバイルシフトがより鮮明になってきています。

国内の広告市場を知るには「日本の広告費」が定番ですが、海外市場も類似する統計があります。たとえば米国はIAB/PwCによる「Internet Advertising Revenue Report」、ヨーロッパはIAB Europe、中国はiResearchによる各種レポートが参考になると思います。ちなみに米国のインターネット広告費は596億ドル(2015年、日本の約5倍)、ヨーロッパは307億ユーロ(2014年、日本の約3倍)、中国は1573億元(2014年、日本の約2倍)となっています。いずれの市場でもインターネット広告は毎年拡大を続けています。

(参考)
電通ニュースリリース「2016年 日本の広告費
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0223-009179.html
IAB
https://www.iab.com/
IAB Europe
https://www.iabeurope.eu/
iResearch
http://www.iresearchchina.com/index.html

(第14回)ネット広告で使われる基本指標

今回はネット広告でよく使われる指標をいくつかピックアップします。知っている人からすると基本的すぎる内容かもしれませんが、逆に言うと、最低限は知っておくべきレベルの内容であるともいえます。今回はネット広告の効果を測る指標と、広告の費用対効果を測る指標、あわせて8つを見ていきます。

まず広告効果を測る指標は以下が代表的です。
①インプレッション数(imps)
広告の表示回数。アドサーバから広告が配信された回数をカウントする方式や、ユーザのブラウザで表示された回数をカウントする方式がある。

②CPM(Cost Per Mile)
広告表示1000回あたりの料金。実務では、1impsあたりの料金であるインプレッション単価を使うことが多い。(広告料金 / imps)×1000(円)で算出。

③CTR(Click Through Rate)
広告のクリック率。クリック数をインプレッション数で割る。数値が高いほど広告効果も高い。(クリック数 / imps)×100(%)で算出

④CPC(Cost Per Click)
クリック単価。出稿金額をクリック数で割る。一般的には低い数値の方が広告効果が良いといえる。広告料金 / クリック数(円)で算出。

⑤コンバージョン(Conversion)
資料請求、会員登録、商品購入等の成果件数。目標件数は、各広告主のマーティング目標に応じて設定。

CPA(Cost Per Action)
顧客獲得単価。出稿金額をコンバージョン数で割る。ダイレクトレスポンス型のキャンペーンにおいては最も重要な指標といえる。とくにスマートフォンにおいてアプリのインストールを成果とする場合は、CPI(Cost Per Install)という指標が用いられる。

費用対効果を測る指標としては以下があります。
⑦ROI(Return On Investment)
投資対効果。投資額に対する成果を表す指標のこと。(平均利益単価×コンバージョン数−コスト)/ コスト×100(%)で算出。

⑧ROAS(Return On Advertising Spend)
広告費用対効果。広告費の回収率を表す指標のこと。売上 / コスト×100(%)で算出。

ちなみにROASが100%以上だったとしても、ROIが100%未満の場合は利益がマイナスになります。このようにいくら売上が立っていても、利益がなければビジネスとして失敗なので、ROASとROIを一緒にみるときはそのあたりに注意が必要です。